歯が重なり合ったり、ねじれたりして不規則に並んでいる状態を叢生（そうせい）、一般的には「歯のガタつき」と呼びます。多くの方はこの状態を「見た目の問題」として捉えがちです。

しかし、仙台駅前歯科・矯正歯科では、叢生を単なる審美的な問題としてではなく、将来の虫歯や歯周病のリスクを大幅に高める深刻な口腔疾患として捉えています。

私たちは、見た目の改善だけでなく「虫歯や歯周病を防ぐための矯正」を最も大切にしています。

叢生を治すことは、生涯にわたるお口の健康への「最高の投資」だと考えています。

叢生があることで、口腔内の清掃性と環境は著しく悪化します。

これが、虫歯・歯周病の温床となる主要因です。

清掃困難部位の形成とプラークの蓄積

歯が重なり合っている部分は、歯ブラシの毛先が物理的に届きません。ここは「清掃困難部位」となり、プラーク（歯垢）が最も蓄積しやすい場所です。

フロスや歯間ブラシを用いても、複雑な隙間には清掃器具が入りにくく、磨き残しが慢性化します。

この状況が続くと、プラークが石灰化し、さらに除去が難しい歯石へと変化する悪循環に陥ります。

唾液の自浄作用の低下と局所的な酸性化

正常な歯並びであれば、唾液が歯の表面を洗い流す「自浄作用」が働き、細菌や食べかすを排除してくれます。

しかし、歯並びが乱れていると唾液の流れが妨げられ、食べかすが停滞しやすくなります。重なった歯の内側など、唾液が循環しない局所では口腔内のpHが酸性に傾き、虫歯菌が活性化しやすい環境が長時間維持されてしまいます。

咬合力の不均等な分散と歯周組織へのダメージ

叢生による不正咬合は、噛み合わせのバランスを崩します。

その結果、一部の歯にのみ過度な負担（咬合力）がかかります。

この不均衡な力は、歯を支える歯周組織（歯ぐきや歯槽骨）に慢性的なストレスを与え、歯周病の進行を加速させる要因となります。

叢生が原因で、虫歯・歯周病のリスクは通常よりもさらに加速します。

虫歯リスク：気づきにくい「隣接面虫歯」の高い発生率

清掃困難部位に溜まったプラーク中の細菌は、糖分を分解して酸を産生し、エナメル質を溶かします。

特に問題なのが、歯と歯の接触面で発生する「隣接面虫歯」です。

発見の遅れ

歯が重なっているため、目視やレントゲンでの発見が難しく、かなり進行してから症状が現れるケースが多発します。

進行の速さ

気づいた時には神経の治療（根管治療）が必要になるなど、大きな治療につながることが少なくありません。

歯周病リスク：「咬合性外傷」による歯槽骨の早期喪失

慢性的な炎症と骨の喪失

重度叢生では、若い年齢でも歯ぐきの腫れや出血が慢性化し、歯周病の進行を止めることが困難になります。歯並びを整えることは、歯周病を止めるためにも非常に重要な、根本的な解決策なのです。

矯正治療を考える上で、年齢による治療目的や効果の違いを理解しておくことは重要です。

小児期：顎の成長を利用した早期改善

小児期の叢生は、顎の成長を利用して早期に改善できる可能性を秘めています。適切な時期に治療を始めることで、永久歯がきれいに生えそろう土台を作り、不適切な口腔清掃習慣が定着するのを防ぐことができます。

成人期：リスク軽減と歯の寿命を延ばすための治療

成人期の矯正は、「虫歯や歯周病のリスクを減らすための治療」という予防目的が大きくなります。既に進行した問題がある場合は、虫歯や歯周病の治療と並行して行うことで、歯の寿命を延ばす効果が期待できます。

高齢期：清掃性と安定を重視した歯列維持

高齢期では、長年の影響で歯周組織の支持力が低下していることが多いため、清掃性の確保と噛み合わせの安定を重視した矯正を行うことがあります。これにより、残りの歯を守り、全身の健康にも影響する咀嚼機能を長く維持することを目指します。

仙台駅前歯科・矯正歯科が最も大切にする「予防矯正」は、単に歯を並べるだけでなく、将来の口腔疾患を防ぐことを目的にしています。

「予防矯正」とは、未来の虫歯・歯周病リスクを摘むこと

予防矯正は、歯の移動だけでなく、顎の骨の成長や永久歯の生え替わりを適切に誘導する治療を含みます。

これにより、将来的に歯を抜かずに済む可能性を高め、叢生になる根本原因にアプローチします。

一期治療（小児）

主に乳歯と永久歯が混在する時期に行い、プレート型の装置（床矯正装置）などを使って顎の幅を広げたり、歯の生えるスペースを確保したりします。

これにより、将来的な重度の叢生化を防ぐとともに、ブラッシングしやすい環境を整えます。

二期治療（本格矯正）

永久歯列が完成してから行う本格的な治療です。清掃性の確保を最優先に、機能的かつ美しい歯並びを目指します。

マウスピース矯正やホワイトワイヤーを使用した目立ちにくいワイヤー矯正など、患者様の生活スタイルに合わせた選択肢を提供します。

叢生がある方のセルフケアには限界があります。
専門的な管理と個別指導が不可欠です。

叢生の程度によるリスク評価とプロによるクリーニング（PMTC）

軽度の叢生であっても、清掃しづらい部位がわずか1か所あるだけで虫歯・歯周病の原因になります。

当院では、叢生の程度（軽度・中等度・重度）を正確に診断し、リスクに応じた予防プログラムをご提案します。

叢生のある方は、歯ブラシだけで完全に汚れを落とすのは困難です。

歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニング（PMTC）を定期的に受けることで、ご自身では除去できないプラークや歯石を徹底的に除去し、病気の進行を大幅に抑制します。

個別化された清掃指導と補助具の活用

叢生の状態は千差万別であるため、画一的な指導では不十分です。

仙台駅前歯科・矯正歯科では、患者様一人ひとりの歯並びの「清掃の癖」や「磨き残しポイント」を分析し、オーダーメイドの清掃指導を行います。

清掃補助具の選定

叢生部位の清掃には、通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシ、フロス、ワンタフトブラシなどの補助器具が必須です。

患者様の歯列や器用さに応じて、最も効果的な器具の組み合わせと使い方を詳しくご指導いたします。

患者様が生涯の健康を得るための投資である矯正治療を、安心して前向きに取り組んでいただけるよう、以下の3つのモットーを大切にしています。

痛みを少なく：「優しい矯正」の追求

矯正治療に痛みが伴うことは事実ですが、当院ではその痛みを最小限に抑える工夫を徹底しています。

最新の矯正装置の使用

歯に加える力を調整しやすい低摩擦（ローフリクション）のブラケットや、痛みの少ないオーダーメイドのマウスピースなどを活用し、穏やかで持続的な力で歯を動かします。

清掃補助器具の活用

経験豊富な歯科医師が、毎回の診察で患者様の状態を確認しながら、ミリ単位で力の調整を行います。

わかりやすく：不安を解消するコミュニケーション

治療の過程やゴールが見えない不安を取り除くため、「見える化」と「透明性」を重視しています。

治療計画の視覚化

口腔内スキャナーのデータやシミュレーション画像を活用し、「あなたの歯がどう動いて、いつ頃ゴールに到達するか」を具体的にご説明します。

明確な情報提供

費用や期間、リスクについても、質問をいただく前に全てお伝えします。ご理解・ご納得いただいた上で、一緒に治療を始めるのが当院のスタイルです。

楽しく進める：ポジティブな治療体験の提供

長い期間にわたる矯正治療を、前向きに取り組んでいただける環境を整えています。

心地よい院内環境

リラックスできる空間作りや、明るいスタッフによる丁寧な対応により、ご来院いただくこと自体が楽しみになるような環境を目指しています。

スタッフ全員でのサポート

医師だけでなく、衛生士や受付スタッフも含めたチーム全員で患者様をサポートし、小さな変化や頑張りを共有しながら治療を進めます。

叢生治療の成功は、最初の診査診断にかかっています。
当院では最新のデジタル技術を用いて、口腔内の状態を立体的に把握します。

3DセファロCTによる精密検査

従来の平面的なレントゲンに加え、低被ばくの3DセファロCTを導入しています。

これにより、歯の位置だけでなく、顎の骨格構造、神経や血管の位置を立体的に把握し、安全かつ最適な歯の移動経路を設計します。

口腔内スキャナー（iTero）の活用

従来の粘土のような不快な型取り（印象）ではなく、光で数分間に正確な歯型を採れる口腔内スキャナーを使用しています。

このデータは治療シミュレーションに用いられ、マウスピース矯正の精度向上に欠かせません。

叢生は、放置すると歯の寿命を縮める深刻なリスクとなります。

早期に診断を受け、矯正治療という根本的な解決策と、専門的な口腔管理を組み合わせることが、生涯にわたる口腔健康の維持に不可欠です。

叢生でお悩みの方、虫歯や歯周病を繰り返している方は、ぜひ仙台駅前歯科・矯正歯科までご相談ください。

詳細な診査により、患者様一人ひとりに最適な治療プランをご提案し、健康で長持ちする美しい歯列を手に入れるお手伝いをさせていただきます。